食品サンプルは 昭和初期に 日本で生まれた日本独自の伝統文化です。
40代前半の頃、家電量販店を早期退職してからいろんなビジネスにトライしていた頃、パソコンのメンテナンスやホームページ作成でおじゃましていた「北村サンプル」の内藤さん。
北村サンプルの製品や商売を見ていて「これぞネットビジネスでいけるのではないか?」と思い、社員として2年間お邪魔させていただきながらウェブ化や小売向け製品化をやらせて頂きました。
その後退職してから6年が経過し、ホームページもリニューアルするにあたり、昔のコンテンツがちょっともったいなく思ったので、しゃぼねっとに残しておこうと思います。
北村サンプルは創業の昭和6年(1931)より 静岡市で食品サンプルを製造販売しております.
静岡市はタミヤや バンダイ、ハセガワ、アオシマ など世界有数の有名プラモデルメーカーが軒を並べる「模型の街」です。古くは徳川家康公が全国から駿府の城下町に有能な職人を集め、木工や竹細工などを発展させたことに始まります。
日本の伝統文化 食品サンプルの歴史
「食品のカタチをした模型を作る」ということに関しては、古くは大正時代より 医学用の人体模型を製造する技術を用いて食材などの模型を作る「食品模型」というものを製造していたそうです。
本格的に「食品サンプル」として普及をしたのは、関東大震災明けから昭和のはじめ と言われております。
北村サンプルは 昭和6年(1931年)に創業者 北村辰雄が大阪にて食品サンプル製造業を個人開業して以来、50年以上にわたり食品サンプルを製造しております。
食品サンプルと北村サンプル
当社先代の話では。。。
当時 北陸から蒲鉾(かまぼこ)の行商をする方が
「蒲鉾を売り歩きたいのだが、すぐに傷んでしまって困る」と嘆いていたそうです。
当時は今のように食品の保存や冷蔵・冷凍技術が今のように充実しておらず、
作りたてでおいしそうな蒲鉾といえど、元々は魚の練り物なので
2~3日もすると、とてもおいしそうには見えない状態になってしまいました。
先代はそのころ 化粧品の口紅を蝋(ろう)で作っていましたので、
困っていた行商の方へ蝋でかまぼこの見本を作ってあげたところ、
非常に重宝され、依頼が多くなり食品サンプルを製造するようになったそうです。
・・・ちなみに、先代のとなりで化粧品を作っていたのが
今や有名な大企業となった「シャンソン化粧品」さんでして・・・
そのまま化粧品を作っていれば~なんて残念な逸話もあります(笑)
その後、日本は高度経済成長と共に「サラリーマン」という職種が増加し、
いわゆる庶民が百貨店(デパート)の食堂(レストラン)で洋食を食べるようになり、
混雑する時間帯にはテーブルまでいちいち注文をお伺いすることも大変となりました。
そこで、店の入口にショーウィンドウを置き、料理の見本を並べて注文を決めてもらい、
席に着く前にレジで食券を買ってお金を支払う「料金先払い」のシステムをはじめました。
これで一気に回転率が上がり、全国的に大評判となりました。
百貨店が全国に出店すると共に、レストランの入口にある「食品サンプル」は一般化し、
やがて街の喫茶店やおそば屋さん、お寿司屋さんでも使用するようになりました。
デパートの大食堂で入口のウィンドウ 楊枝で作られた国旗が立つ
「お子様ランチ」には 心躍らされた方も多いでしょう。
食品サンプルの値段は?
その昔、蝋(ろう)で作っている頃は、どうしても外に向けて表に展示しているため、
日焼けなどですぐ変形や変色をしてしまうので 定期的にメンテナンスが必要でした。
そこで商品を「貸付(リース)」として毎月の固定費をもらうようになりました。
費用は だいたい「定価の10倍」として、500円のうどんなら 5000円 とすることで、
毎日同じうどんを見本として作っていると、30日で15000円かかりますから、
店側は作る手間も無駄もなくなり助かります。
季節によりメニューが変わるような店では定期的にサンプルも入れ替えるので好評でした。
塩化ビニール樹脂で作られるようになった今は、蝋に比べて長持ちするようになりました。
これが逆にやがて「食品サンプル業界」が衰退をはじめることにもなってしまいます。
樹脂の品質も時代と共に良くなり、チェーン店などへの大量生産については、
金型による成型も可能となり、同一の物を非常に安く作ることも可能となりました。
しかし、基本的に真の「食品サンプル」は「 一点モノのカスタムレプリカ 」であり
「食品サンプル職人による手造り」の製品となると、当然職人の人件費がかかります。
ですから市場には「値段の安い量産品」と「値段の高い芸術品」が出回っています。
食品サンプル職人がつくる一点モノでも、手間と時間により価格は大きく変わります。
この業界は 小売業と異なり、いわゆる「言い値」の「後見積」となる場合が多く、
完成度もクライアントの見方によりだいぶ「良い」「悪い」が変わります。
だいたい ですが、現在の相場は 買取り品で「 定価の 8倍~15倍 」程度です。
世界の食品サンプル
海外におきましては おとなりの韓国ではソウルオリンピックの時に普及し、
中国でも上海など食文化が発展している都市を中心に増えつつあります。
日本のまわりの国では食品サンプルを店頭に並べているお店がそこそこあります。
フランスやイタリアなど、西洋ではメニューをながめて
注文する料理や飲物を 店員とあれこれ相談して決める
その店員との会話自体が料理の文化として残っております。
過去に食品サンプル業界の各社がアメリカへ食品サンプルを売り込もうと
チャレンジしましたがどうしても「ただの模型」としか評価されませんでした。
しかし意外にも、その時いっしょに持っていった
冷蔵庫の中にお金を隠すための「フルーツ型貯金箱」は大ヒットしました。
海外で「食品サンプル」はホビーやジョークグッズのコレクションとして人気があります。
食品サンプルの素材
当初は 寒天で型をとり、蝋(ろう)を流し込んで作っていましたが、
現在ではシリコンで型ををとり、塩化ビニール樹脂で造形しております。
ご注文から納品までのながれ
まずは お電話またはメールでお問い合わせください。
当社は現在 主に 静岡市周辺 でのご依頼を承ります。
1000円以下のお料理ですと、約1万円程度の金額となります。
静岡市周辺の場合ですと、とくに交通費等を頂くことはありませんが、
静岡市周辺より遠方の場合は 別途交通費を頂戴する場合がございます。
そうなると、交通費のほうが高くなってしまうこともあります。
その場合は お近くの食品サンプル製造会社をご紹介させていただきます。
また、ご依頼の商品やお料理によって受け付けの工程が異なります。
遠方の場合でも 焼き菓子など宅配便で配送可能なものでしたら
ご対応可能な場合もございます。
静岡市周辺でのご依頼の場合は営業スタッフがお伺いするか、
当社までお持込みいただきます。
レストランや喫茶店などの飲食店、お弁当屋さんやおみやげ物屋さんなど、
営業担当がヒヤリングし、どのようなサンプルにされるかを
打ち合わせの上、大まかなお見積を致します。
ご発注の場合
ご発注の場合は 実際にお料理を作っていただき、写真とメモをとります。
お料理は工場で型取りを行うため、お持ち帰りさせていただきます。
工場にて型取りを行い ビニール樹脂で成形し着色を行います。
完成した食品サンプルをご確認いただき、最終チェックの上、納品致します。
納期
納期は ご発注から最初のご確認までで、約3週間程度です。
基本的にお見積は「食品サンプル製造代金」のみとなっております。
製品をお納めするのみか、店頭ディスプレイの演出まで行うか 等につきましては
お見積の際にお伺いさせていただきます。
今になって、食品サンプルについての歴史や作りかたなどに興味を持つ方が増えております。
食品サンプルは 立派な日本の伝統文化だと改めて感じます。
現在、北村サンプルでは 日本の伝統文化を「おみやげ」として喜んで頂くことができるよう、
「寿司マグネット&キーリング」といった商品を開発し、
「メイドインジャパン&ハンドメイド」を掲げ、
インバウンド需要の増加に向けて取り組んでおります。
この寿司マグネットは 空港、観光地、旅館などをはじめ、大手量販店では
東急ハンズ ビックカメラの一部店舗や ヨドバシカメラのヨドバシドットコムでも購入可能です。
この本文は 私 藤原正之がたくさんの先輩たちから聞いた色々な話をまとめたものです。
聞いた話も本当かどうか・・・職人のじいさん達は「オレオレ主義」の人が多い(^^;)
食品サンプル業界は 未だに団体や組合がなく、実際の現場は溶剤や塗料にまみれ、
なかなか3K的要素が高い環境でもあります。
売上の減少に職人の高年齢化が進み、年々事業をたたむ同業も見受けられます。
現在 最大手となった「イワサキグループ」では、創業の岩崎瀧三さんが地元の郡上八幡にて「田舎で事業を興して雇用を創造する」という素晴らしい志ではじめた岩崎模型のサンプル工場では今もたくさんの製造を行い、まわりには「サンプルビレッジ」「サンプル工房」などでサンプル作りの体験ができる施設があります。
東京ではかっぱ橋の「まいづる」さんやおもしろ商品を提案している「HIRAHATA」さん、
大阪では難波千日前 よしもと劇場横の道具屋筋で、「デザインポケット」「R&M」といった
「食品サンプル」をおもしろグッズとして販売している楽しいお店も出てきています。
一見 見慣れていますが、実際に手に取ると これまた新鮮なおもしろさがありますよ♪
特に、大阪に遊びに行く方は デザインポケットさん R&Mさんへ行ってみてください。
「静岡の北村サンプルのホームページで 藤原 がおススメしてたんで・・・」
と言って頂ければ ・・・ 私の寿司マスコットの売上が上がるかもしれません(笑)
大阪出張の回数が増えるといいですねぇ~♪串カツ最高です!